市場調査にかかるコストの妥当性について考える【コラム】
インターネットの普及によって市場調査の敷居は随分と下がりましたが、それでも中小企業にとってみればそれなりに大きい投資です。ましてや海外市場の調査となると言葉の問題もあり、結構なコストがかかるようですが・・・ |
海外市場のことはよくわからない。だからまず調査会社に依頼する。発想としては一見正しいように思えますが、本当にそれで良いのでしょうか?
委託先によって価格は異なるとは思いますが、200~300万円ぐらいはすぐにかかってしまいますが、本当にその必要があるのでしょうか?
そこで質問です。下記の1~3のケースをご覧頂き、どこまでが妥当なコストと皆さんは考えますか?
1.A案・B案どちらに100万円を投資すべきか、100万円かけて調査をする
2.A案・B案どちらに100万円を投資すべきか、10万円かけて調査をする
3.A案・B案どちらに100万円を投資すべきか、1万円かけて調査をする
これだけの情報では2と3は判断に迷うと思います。しかし、1が妥当だと思う方はいらっしゃいませんよね?
調査に100万円かけるなら、A案・B案それぞれに100万円ずつ投資する方が合理的ですよね?
しかし、これほど極端ではないとしても、日本企業の中では上記の1のような調査をやっているケースを時々目にします。おそらく情報が不足していて不安で、失敗したくないという気持ちが、判断の目を曇らせるのでしょう。
例えば中国に工場を移転するケース、このような場合は初期投資が大きく、その投資額に見合った精度の高い調査を行い、慎重に採算性を検証した方が良いと思います。しかし、海外市場の可能性を探るためのマーケティング・販売活動であれば、今の時代、数十万円からでもトライできます。調査に高いコストを払うよりは、テストマーケティングを開始する方が合理性が高く、しかも調査するよりも価値の高い情報、即ち市場の生の声を得ることができます。
安全が確認できるまで調査をしていると、一生海外進出はできません。どんなに調べたところで不確定要素がなくなることはないのです。情報を集めて悩んでいる時間はもったいないので、まずはスモールスタートで最初の一歩を踏み出してみてはいかがですか?
長谷川 靖志