中国視察レポート 中国製造工場の実態【コラム】
先月、香港出張の後、中国の深センにあるドイツ機械メーカーの中国工場をに立ち寄りました。深センは香港から車で1時間半ほど北にあり、国境で入国手続きを行ってから深セン側に入ります。 |
私が訪問した会社は約600人の従業員がいる会社で、数人のドイツ人管理者がいましたが、それ以外従業員のほとんどは中国の各地方から働きにきている労働者で、20代らしき女性が最も多く見受けられました。
そこでは細かい部品の組立や、電子基板のはんだ付け、細かい部品の検査等、若い女性でないとなかなか大変そうな作業が行われておりました。工場内にはロボットの使用により自動化しているところも年々増えてはいるものの、まだそれはほんの一部で、ほとんどが人の手による作業でした。そのため工程内ではポカヨケを行い、品質管理を徹底しています。
工場長が言うには、中国では他に給料の高い働き口があれば、従業員はすぐに移ってしまうということが問題になっているため、この会社では従業員が会社に定着するよう、色々な福利厚生を行っているようです。
この会社では従業員向けの社員寮と食堂は当然のこと、最近では従業員向けに、会社内に携帯バッテリーの充電コーナーを設けたり、敷地内にバーベキューコーナーを作ったり、従業員が友人や家族とインターネットで連絡を取り合うためのPCルームを開放したりしているようです。このようにして従業員が会社に定着することで、採用コストや教育コストを抑え、同時により熟練した従業員を雇用し続けることに力を入れているとのことでした。
人手による作業がいまだに中心ではありますが、様々な施策によって従業員のモラル向上や品質管理に取組む姿を見て、品質面でも日本企業に近づく日はそう遠くはないのではと危機感を感じました。
2011年8月
髙山 恵史
髙山 恵史