海外企業と交渉する上でのコミュニケーションギャップ【コラム】
海外との交渉がうまくいかないケースで、「言葉の壁」を理由とする方が多いようですが、果たしてそれって本当でしょうか?もしかすると相手が日本語を話せたとしても、商談はまとまらないのではないでしょうか・・・ |
弊社スタッフはビジネスで英語を話しますが、正直申して皆ネイティブのように流暢かというとそうではありません。どちらかというと、時々「うーん」と悩みながらも、適切な言葉を絞り出して懸命にコミュニケーションをとっている感じです。その結果、発言はどうしてもシンプルになる傾向にあります。そして、それでも業務遂行上で支障はほとんどありません。どちらかというと食事中の雑談の方が難しいです。
ビジネスの交渉において、言語は単なるコミュニケーションの手段です。真に重要なのは交渉の中身や姿勢です。海外企業と交渉する日本企業の場合、そもそもこの辺りに問題があるケースが多いように見受けられます。
1.ビジネスのスピード
弊社の海外クライアントが日本の展示会に出展すると、「何故、日本企業はトレードショーでトレードしないんだ!?」と驚きます。情報収集だけで具体的な商談になかなかつながらないからです。逆に日本企業が海外の展示会に出ると商売につながっていないにも関わらず「うちの製品は評判でした」と喜んでいることがあります。日本企業はこのスピード感のギャップを理解し、レスポンスを早くする必要があります。交渉の場で「持ち帰って上司に相談します」を続けるぐらいなら、最初から上司を同席させましょう。
2.明確な意思表示
例え欧米人であってもお世辞を言いますし、言葉を濁すこともあります。しかし、具体的な交渉ごとにおいては明確な意思表示をします。海外展示会で日本製品の評価が概ね高い理由は、具体的にその場で条件提示して、売り込んでいないからです。売込めばハッキリと「高い」や「うちはいらない」と言ってくれます。そして、交渉はそこから始まるのです。
3.ロジカルな交渉
ビジネスは双方にメリットが無ければ絶対に成立しません。最初の条件提示で決まることはほとんどありませんので、そこから様々な選択肢をお互いに提示し合い、合理的な妥協点を見つける必要があります。もちろん見つからないケースもあると思いますが、そういう場合は早々に交渉を打ち切り、次の交渉相手を探すべきです。
海外企業といっても、様々な企業、様々な人が居るので一概には言えませんが、グローバルでビジネスを行っている企業と交渉する際には、概ね上記のような印象を受けると思います。何故なら暗黙の了解が通じない、異なる文化や習慣をもっている企業間の交渉というものは、シンプルで、明確で、ロジカルでなければ成立しないのです。海外企業との商談に臨む場合は、是非このような点を注意頂きたいと思います。少なくとも、通訳がどう訳せば良いのか分からない曖昧な発言は避けましょう。
長谷川 靖志