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米国では「シェールガス革命」と呼ばれるエネルギー革命が進行中ですが、商社やエネルギー産業以外でも周辺産業（設備、水処理、検査装置、物流、化学等）でのビジネスチャンスが広がっています。

　シェールガスとは、以前は困難とされていました地下に堆積するシェール層に存在する天然ガスのことで、水圧破砕法（フラッキング）という技術革新によって採掘することが可能となり、世界のエネルギーや安全保障に大きな影響を与えています。

　その埋蔵量は莫大であり、特にアメリカ国内だけでも年間消費量の約40年分、他の天然ガスも合わせると100年分あるとも言われています。既にアメリカ国内ではこのシェールガスの供給が始まっており、以前はFTA締結国に限られていた液化天然ガスの輸出解禁が認可されました。これは以前は天然ガスの輸入国であったアメリカが将来的には輸出国になる可能性が高いという意味です。
　日本企業にとって直接的に関係があるのは大手商社でしょう。三菱商事、丸紅、住友商事等が既に北米の様々なガス田開発に参加しており、ポーランドへ投資をしている三井物産のようなケースもあります。日本が数年以内に安価なシェールガスをアメリカから輸入するようになるのはほぼ間違いないと考えてもよいでしょう。

　弊社が日本投資事務所を務めるペンシルベニア州には、世界最大級のマーシェラスシェールというシェールガス田があります。新しい産業が州にもたらす経済的な影響は大きいと期待されています。しかし、それと同時に環境問題が懸念されています。というのは採掘に用いられる水は多くの不純物を含んで地上に戻るため、そのまま川に戻すわけにはいかないのです。州内では既に1600もの源泉が開発されていて、汚染水を処理する施設の稼働が追い付かなくなるのことが懸念されています。
　そしてここに環境技術に優れた日本企業にとってのビジネスチャンスがあるのです。汚染水を処理するプラントの建設、処理装置の供給等、日本企業の進出が期待されています。但し、ライバルは米国企業だけではありません。世界中の企業が興味をもって進出を検討しているはずです。もしかすると意思決定のスピードが勝負を分けるかもしれません。
　テレビ報道では遠い世界の出来事に見える「シェールガス革命」ですが、実は日本企業にとって大きなビジネスチャンスになり得る可能性があります。環境技術や水処理技術に長けいている日本の製造業の皆様、チャレンジしてみてはいかがでしょうか？